書籍情報
著者:辻󠄀秀一
読み終えるまでの平均的な時間:2時間9分
ページ:145
出版社:フォレスト出版
発行日:2011年4月15日

この本のまとめ
この本は、もっと仕事や勉強で成果を出したいと考えている人に向けて書かれています。
成果を上げるのに「集中する」ということはとても大切でしょう。
集中力が続かないのは、過去の出来事やマイナス感情から脳が勝手に意味付けをしてしまうためです。
意味付けをする脳機能ではなく、どうやって行動するのか?と考える脳機能を使うことで集中することができます。
自分の好きを大事に考え、自分で決めて行動することで、集中状態に傾くことができます。

1.圧倒的な集中「ゾーン」
FLOW(フロー)状態とは何か
多くの人が自分に相応しい最高の結果を求めています。
そういった結果を手に入れる人たちには、必ず高い集中力があるのです。
パフォーマンスの質を高いレベルで決定する心の状態を「FLOW(フロー)状態」と呼び、逆に気が散って集中できない状態をノンフロー状態と呼びます。
ノンフロー状態とは「揺らぎ」「とらわれ」をもつ状態のことです。
「揺らぎ」とは、マイナス感情が思い起こされた不安定な心の状態のことを言います。
「とらわれ」とは、過去の出来事から作られた思い込みに支配された状態のことです。

集中を阻害するのは脳が勝手に意味付けするから
なぜ人はこのように気が散って集中しなくなるのでしょうか?
集中を阻害する大きな理由に「環境」「出来事」「他人」などがあります。
天気が悪かったり、部屋がうるさかったり、「環境」によって人の心の状態は変わります。
仕事の内容や勉強の科目などの「出来事」に感情が想起され、嫌い、難しい、などといった「とらわれ」が形成されます。
また「他人」の動きのすべてが、「揺らぎ」「とらわれ」を形成するでしょう。
これらの環境、出来事、他人から、脳はさまざまな意味付けを勝手にするよう仕組まれています。
その意味付けが、心に「揺らぎ」や「とらわれ」を生じさせているのです。

その出来事や他人には、もともと何の意味もついていないのに、脳が意味付けをすることで心にノンフローを引き起こします。
朝5時に起きるのは早いと感じるでしょうか?
しかし、もともと5時という時間に早いという意味も遅いという意味もありません。
会社員、築地市場、コンビニの夜勤、その人の生活によって意味付けは異なります。
理科や数学はただの学問で、英語はただの言語であり、難しい、つまらない、といった意味はないのです。
大切なのはすべてにポジティブな意味付けをすることではなく、集中できない理由が意味付けする脳にあると気付くことです。

集中を生み出す「ライフスキル脳」
人間の脳機能は、「認知脳」と「ライフスキル脳」の2つに分けることができます。
「認知脳」は外側の出来事に向いた脳機能で、外部の状況を判断し「何をするのか」を明確にする機能です。
この「認知脳」は外部のあらゆる物事に意味付けをします。
外部の状況を判断しながら行動の指針をとる重要な機能ですが、同時に集中を阻害する原因にもなります。
「ライフスキル脳」は心の内側に向けた脳機能で、「どうやってするのか」を明確にします。
ここで重要なのは、「認知脳」の意味付けに気付き、「揺らぎ」も「とらわれ」もなく考えることです。
集中状態を作り出す人は、「認知脳」と「ライフスキル脳」の両者をバランスよく使いこなしています。
「認知脳」でやるべきことを明確にし、「ライフスキル脳」でフロー状態に入ることが大切です。

ライフスキル脳の磨き方 「知識」「実践」「シェア」
多くの人は外側の出来事に向かう認知脳が長けていて、ライフスキル脳が弱いアンバランスな状態にあります。
脳の意味付けを変えるのは難しいですが、意味付けに気付く「ライフスキル脳」を鍛えるのは簡単です。
ライフスキル脳は「知識」「実践」「シェア」で磨くことができます。
「知識」はライフスキル脳の仕組みやフローなどの知識のことです。
多くの人は知るだけで満足してしまいますが、それだけでは意味がありません。
知識として得た脳の使い方を「実践」することが大切です。

脳の知識を実践で使えば心はフローに傾くでしょう。
そして、実践で感じた体感を言葉にします。
「シェア」することで人と分かち合うことが重要です。
ライフスキル脳は人生の特別な時にあるものではありません。
1日のいつ、どこであってもライフスキル脳は鍛えることが出来ます。
そしていつでもフロー状態へ傾けるようになるのです。

2.集中脳をつくるには?
内発的動機でゾーンに近づく!
○○のために頑張る、など条件や理由をつけて努力することを外発的動機付けと言います。
これは一見集中に見えますが、持続性が短かったり、再現性が少なかったりします。
エネルギーを外部に頼っているので、理由や条件が変化したり、無くなってしまうこともあるでしょう。
一方、自分の好きを大事にして考える、自分で決めてやっていると考える、など、理由を自分の内側に求めることを内発的動機付けと言います。
内発的動機付けは外部の条件や理由から解放され、フロー状態へ傾けてくれます。

フローに傾ける自己4大ツール 「表情」「態度」「言葉」「思考」
多くの人は「環境」「出来事」「他人」によって受けた心の状態を表現しています。
「環境」「出来事」「他人」に反応してばかりでは、自分の心を自分で決めるフロー状態に入れません。
「環境」「出来事」「他人」が自分の心を決定するのではなく、自分の「表情」「態度」「言葉」「思考」が自分の心を決定するということを意識しましょう。

常にフローを起こすには?
自分の「表情」「態度」「言葉」「思考」で心をフロー状態にすることを考えていきましょう。
まず「表情」は外部の状況によって生み出されることが多いです。
悪いことがあれば、その出来事に支配されて表情をゆがめてしまいます。
しかし、どんなに悪いことがあっても自分で自分の表情を作って笑顔でいることは、素晴らしいライフスキル脳の力と言えるでしょう。

フローに傾く「態度」とは、「穏やかな態度」「堂々とした態度」「元気な態度」です。
これは自分の心は自分で決める、ということに基づきます。
呼吸をゆっくり大きくするだけでも、フローな態度に傾くことができます。
また「言葉」の選択が心に「揺らぎ」「とらわれ」を生むことも、フロー化を起こすこともあります。
同じ言葉でも状況によってポジティブにもネガティブにもなるでしょう。
言葉の選択によって、心の状態がどう変化するのか気付くライフスキルが必要です。

「思考」で大事なのは、全てにポジティブな意味付けをしようということではありません。
理由や理屈に関係なく、フローの状態に傾く思考の選択のことを言います。
例えば、好きという感情を大事にすることです。
好きという思考で行動できれば、自分にはできない…などの「とらわれ」から解放されて、フローの状態に傾きます。

やるべきことを「好き」でやる
「何をするのか」とそれを「フローな心の状態」でできるようにしましょう。
するべきことが不明確なら集中はやってきません。
認知脳でハッキリさせることが大切です。
するべきことを認知脳ではっきりさせ、今に集中するようにしましょう。
今に集中すると意味を付けにくいので、フロー化が起こりやすくなります。
さらに行動そのものにフォーカスすることで、効果を高めることが出来るでしょう。
一生懸命にやる、ということそのものを人間は楽しむことができます。
その好きを内発的動機付けにしてライフスキルを高めていきましょう。

感想
集中状態をどうすれば起こせるのか?またそれを阻害する要因は何か?
具体的に書かれていたので実践的でわかりやすい本でした。
自分にできるのか、これに意味があるのか、今これをするべきなのか。
何かしている最中も色々なことを考えがちです。
余計な思考を傍観する、あるいは無視する、など湧き上がる思考を認めつつ近づかない、というのはやはり集中に大事なんだと思います。
本書では集中を高めるための思考法や、ライフスキル脳を実践している有名人などの実例も細かく載っているので、興味があればぜひ読んでみてください。
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